「アラバマ大学、ミシガン大学実習」           M3 Male

 

準備

アラバマ大学での実習は峯石先生に個人的にお願いし、オブザーバーとして受け入れていただきました。その後、担当者の方と何度がメールをし、必要書類の提出、寮の申し込みなどを行いました。

ミシガン留学のためには、学内選考、TOEFLVISA、大学の申し込みなどがあります。

学内選考についてですが、5月ごろに書類提出、日本語、英語での面接が行われます。自分はアメリカの医療に興味があり、アメリカの大学の中でも提携があるジョンズホプキンス、ミシガン大学を希望しました。面接のために、一般的に面接で聞かれるような内容について、英語で準備し、臨みました。しかし、なぜアメリカに行きたいのかという質問以外準備していないことを聞かれ、必死で答えました。

TOEFLは、一か月ほど、問題集を買って対策をして受けました。一度しか受けませんでしたが、慣れもあると思うので数回受けてもよいかもしれません。

事務手続きとして、9月ごろに書類提出をします。志望動機、履歴書、TOEFLの点数、診療科の選択などを、国際交流室に提出し、ミシガン大学に送ってもらいます。数週間後ミシガン大学のGLOBAL REACHCarrieさんからメールが届き受け入れ証明などがもらえます。

受け入れ診療科の決定は遅く、アラバマ大学にいる1月後半に連絡を受けました。それまでは、診療科が正式決定されていませんでした。結局神経内科、外科で2か月間実習できることになりました。

 

 

 

U期 ミシガン大学

神経内科実習

最初の1か月間は神経内科にお世話になりました。神経内科では、主に入院患者の様子を見る病棟チームと、他科からのコンサルを主に扱うチームに分かれていました。私以外にミシガン大学の学生が12人おり、それぞれのチームに分かれ実習を行いました。私は4週間病棟チームで実習することになりました。アテンディングはDr.Gelbでした。私は患者を担当することを許してもらい、新たに入院してきた患者にインタビュー、身体診察などをし、今後の治療プランなどをまとめ翌日の朝の会議で発表を行いました。その後はその患者の様子を毎日確認し発表しました。常に12人の患者を担当することができ非常に充実していました。患者さんの多くは脳卒中の患者でした。救急車が到着し脳卒中が疑われると、チームに連絡が入り、私たちは救急室に向かい患者の診察をし、CTなどの検査を迅速に行いました。そこでの議論は主にtPAの適応か否かでした。

そのほかにも、てんかん、リンパ腫、頭痛なども見ることが出来ました。

病棟業務の空いた時間には、フェローやアテンディングに講義をしていただきました。内容は、脳卒中の入院後の管理や、てんかんの薬の選び方、頭痛の種類と治療についてなどでした。さらに、いくつか学生が参加しなければならない授業、会議がありました。

ひとつは患者が実際にきて、自分の病気について話をするというもので、日本にはないものでした。形式としては、先生1人が患者に対し診察のように質問していき、時々学生などに質問をするというものでした。

そのほかに患者の神経症状から、原因部位を特定することに関する授業でした。先生がいくつかの症例を持ってきてそれについて検討していきます。日本の講義と異なり、質疑応答の形で講義が進行していきます。神経内科では、特に、原因部位が、大脳、脳幹、脊髄、末梢神経にあるのか症状から判断することが重要で、新しい患者が入院してくる度に、検討しました。神経内科では、基本的にミシガンの学生と同じことができたと思います。ただ、カルテにアクセスできず、その点は非常に不便でした。

 

V期 ミシガン大学

次の1か月間は外科にお世話になりました。私はミシガンの学生1人について一緒に回るという形式で実習を行いました。オブザーバーなので、手洗いは基本的にはできません。術野外からの見学になりました。

1週目は小児外科に行きました。ヘルニアの手術、先天性心疾患の手術などを見学し、また、クリニック見学を行いました。クリニックでは、術後定期健診、ヘルニアの症例が多かったです。

私は、形成外科の見学がしてみたかったので、ほかの学生に頼んで一緒に回らせてもらいました。形成外科では、乳がん手術後の乳房再建、手根管症候群の手術、美容整形の手術、外傷後の再建を見ました。

ミシガンの学生は外科実習の最後に口頭試問があります。それは、症例が提示され、そこから、医療面接、診察をどのように進めて、鑑別診断は何か、治療法は何かなどを答えていくというものです。そのためのテキストが配られ、私ももらうことが出来ました。外科実習は手術見学以外の時間はやることがないので、ミシガンの学生が、口頭試問の練習をしようと言ってくれ、お互いテストしあいました。これは非常にためになりました。どのように面接を進め、どのような身体診察をし、何の検査をオーダーし、画像検査はどうするか、鑑別診断は何か、治療法は何かを学ぶことが出来ました。もちろん英語の練習にもなりました。

3周目、4週目は血管外科にお世話になりました。胸郭出口症候群、静脈瘤、大動脈瘤、頸動脈狭窄、潰瘍などが原因の下肢切断などの症例を診ました。

どの科でも先生方、学生がとても親切で、術野外から見学する私を気にかけてくれ、術野をよく見ることができるように工夫してくれました。

外科でも数は少ないものの、講義がいくつかありました。内容は症状別の鑑別診断に関してで、腹痛、嘔吐、首の腫瘍、消化管出血、嚥下困難などでした。私は、病気別の症状などは理解していましたが、鑑別診断をあげるのに慣れていなかったので、ためになりました。