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Taipei Medical University

タイトル:東洋医学と西洋医学の融合

本文:台北医科大学の附属病院、Shaung Ho Hospital(以下、SHH)にて一ヶ月実習をした。二週間は東洋医学、一週間は家庭医学、一週間は胸部外科をまわった。

 東洋医学では主に外来の見学であった。外来の患者さんを通じて、脈の取り方や舌の診方、薬の考え方や鍼灸の考え方を教えていただいた。自分は中国語を話すことを考えたこともなかったため、当然、外来患者さんの話している内容など分からなかった。ただ、微笑みつつ相槌を打っていたため、台湾人だと思われ畳み掛けるように話しかけられたが、

答えに窮し、先生が「日本から来た学生さんですよ」と説明してくださって、「あぁ」となることが多々あった。患者さんを見るときに英語を交えて説明していただいたり、診察を終えた後で説明していただいたりであった。しかしながら、自分も先生方も流暢とは言えない英語力であったこともあり、漢字の羅列の中国語の方がニュアンスを理解できると判断した先生は話すことをやめ、パソコンにひたすら漢字を打ち込み、自分はその理解に努めたりもした。存外日本人は中国語の文章が理解できるみたいで、熱心な先生たちは自分に何冊もの教科書をくださった。「明日までにそれ読んできてね」といった無理難題をこなす日々であったが、それを読みつつ、外来で実践し、解説していただく、といった二週間であった。

 その他、針についての解説とともに実際に患者さんに針を刺す機会もあった。また、東洋医学の薬剤部での実習もあり、そこでは実際に薬を煎じたり、生薬を触ったり食べたりすることができた。

 先生、看護士の方々が本当に優しく、お菓子や飲み物等を日々餌付けされ、SHHのイベントの登山に参加していた。中国語も話せない全くの初めての台湾で、三日目には携帯を盗まれるなどのイベントもあったが、楽しく乗り切る事が出来た。

 家庭医学では、午前午後2回のクルズスと外来見学であった。家庭医学の主な内容としては、健康管理、予防接種、労災認定などといったものである。クルズスでは日本に似た台湾の医療の現状について、多方面から教えていただいた。健康管理に関しては、一つのフロアーで視力、聴力、CTMRIから胃カメラ、大腸カメラに至るまで全ての検査を行うことができる。

 胸部外科では、大学での実習と同じように、主に手術の見学であった。胸腔鏡を使ったオペがほとんどであったが、その器具や手技については日本と同様であった。ただ、衛生管理について、日本と異なる点が、手洗いやオペに使う布などで見られ、異文化における医療を体験できたのはいい機会であった。

 台湾を選んだ一番の目的は現在の日本でも使われることの多い漢方医療について学ぶことであった。実際大学病院においても漢方は使われているが、その理論というか哲学は後にして効果があるから使っていると感じた。自分も将来医者として漢方を使うことになるであろうから、その理論、哲学を学びたいと思った。台湾では西洋医学と同様に東洋医学を学ぶことができ、7年間かけて東洋医学の医者となる。日本以上に東洋医学が土地に根付いていると考え、留学を決意した。実際、台北の街を歩いていると東洋医学の病院を多く見かけることができる。西洋医学を学ぶ医学生にしても、慢性的な病気や不定愁訴に対しては漢方が効果的で、自分もその治療を選択するであろうといった意見が多かった。東洋医学の医師曰く、東洋医学の役割はある種の総合内科であり、多種多様の症状に対応している。一方で、例えば手術可能な癌など西洋医学の治療が効果的な場合はそちらを紹介している。東洋医学の考え方は本来の意味での全人的医療である。誰にでも一定の効果が期待できる西洋医学とは異なり、その患者さんの症状、気分、住んでいるところに応じた治療をつくっている。個々の患者さんを一人の人間として接するときに、西洋医学と東洋医学の協力が必要だと実感した。

 台湾の生活について述べる。自分の実習した病院はSHHという大学からシャトルバスで40分の場所にある病院であった。9時からの実習の場合6:50のバスに乗らねばならず、朝は早い。さらに寮が大学付近でないと、朝はもっと早い。自分はなぜかアフリカ系の人ばかりの寮に配属されたが、出来るだけ早めに動いて、寮の確認をしていた方がいい。もし、寮の担当が自分の時と同じ方であったら、メールがくるのを待ってないで何通もメールを送ってみる事をおすすめする。自分は台湾の空港に降り立つまで寮の場所も名前も知らされないプチミステリーツアーであった。空港にWi-Fiがなければゲームオーバーであった。台湾の物価は安いがピンキリであり、上昇中である。来年以降どうなっているかは定かではない。必要な物は魔法瓶である。台湾はどこでも飲料水(冷・温)が手に入る。皆、コーヒーの粉を持っておいて好きな時に溶かして飲んでいる。お土産は八つ橋などお菓子も買って行ったが、インスタントラーメン‘頂’がめっちゃうまい、と評判であった。

 まさか本当に台湾に行く事になるとは新年の明けた時点では全く思っておらず、準備不足の中、国際交流室の丸山先生に多大なご迷惑をかけた結果、貴重な経験をさせていただくことができました。また留学をするにあたり丸山先生をはじめ多くの方々に支えられました。本当にありがとうございました。