Elective Clerkship 実習感想

M3 Male

 

•はじめに

 2015112日から38日まで、ミュンヘン大学(Ludwig Maximilian University of MunichLMU)の感染症研究室(Institute for Infectious Diseases and Zoonoses)にて、MVAワクチンについての研究に参加させて頂きました。

 ミュンヘン大学での実習を志望した動機としては、これまで経験がなかった研究生活がどのようなものか感じてみたかった、海外での居住生活を経験してみたかった、ヨーロッパの国々の豊かな文化•歴史•人種に触れてみたかったからです。

 

•実習受け入れまで

 国際交流室を通しての実習でしたので、その面接の準備から入りました。以前からエレクラを利用して海外に行きたいと考えていましたので、英会話教室に1年程通ったり、留学生のバスケサークルに参加していたりしました。選考通過後は、国際交流室を通じて希望する研究室に応募しました。私は運良く長く待たずして研究室から返事をもらえましたが、住居については12月下旬になるまではっきりしたお答えをもらえず、実習期間の設定が遅れてしまいました。ミュンヘンの住宅事情は大変厳しく、その他の留学生ならば、寮は二年待ちとなっているとの話を現地の留学生に伺いました。成冨先生をはじめとして現地の多くの先生方のご支援のもと、優先的に手配して頂いたおかげで寮に無事に入れて、大変感謝しております。日本にいる間は、語学面を磨いたり研究室の論文を読んだりして準備しておりました。

 

•実習について

 ミュンヘン大学はミュンヘン市内に数多くのキャンパスがあり、実習先のSutter教授の研究室はuniversitet駅から5分程のEnglischer Gartenの中にありました。研究室は、アメリカ、キューバ、スペイン等からの研究者もおり、国際色が豊かでしたが、普段一緒にいた博士課程の方々はドイツ人が多かったです。メインとして扱うMVAワクチンとは、特定の抗原部分のDNAの配列をあるDNAに挿入し、それをもとにワクチンをつくる技術です。火曜日にconference、木曜日にjournal clubがあり、英語で行われます。その他の時間は、基本的に担当の博士課程の方に実験を見学し、指導をもらいながら少しずつ自分ができる内容を増やしていきました。PCRWestern blotting、細胞培養等の基本的な手技を自分で出来るようになりました。担当の博士課程の方は女性で空手をずっとやられてきたこともあり、彼女の空手の試合を見に行ったりご飯に連れて行ってもらったり、とても良くしてくれました。研究の合間にも、日本とヨーロッパの生活や文化、政治、性格の違いや、研究者生活、獣医のことなど、たくさんお話してくれました。単なる学問的な知識や手技だけでなく、海外の文化や考え方を学べるのは、エレクラに海外を選択する大きなメリットだと思います。

 

•生活面について

 海外での生活は、思いがけないことの連続だと思います。私も行きの飛行機で体調を崩すことから始まり、家の鍵が壊れて外に出られなくなり、お世話して下さっていた辻先生や成冨先生に来て頂いて、一度、鍵が開いたもののまた開かなくなり、3人で家に閉じ込められたりもしました。先生方には大変ご迷惑をおかけしました。ドイツの家は鍵の開け方が少し難しいだけでなく、鍵も鍵屋に来てもらうのもとても高価ですので、ミュンヘンに行かれる方は気をつけて下さい。

 ミュンヘンには日本人留学生もたくさんおり、とても仲良くなりやすく、色々と助けてくれました。ミュンヘン大学で日本語の先生をやられている成冨先生や名誉教授の辻先生にもお世話して頂き、よくご飯に誘ってくださって、日頃のことも相談に乗って頂けたので、不慣れな海外生活でも無事過ごせることができました。

 学校帰りによく利用した州立バイエルン図書館(24時まで使える)も印象的でした。ドイツの方は、全く居眠りをせず、良く勉強するのでとてもいい刺激になっていました。

 せっかくのヨーロッパでの実習でしたので、週末や実習期間後に積極的に旅行にも出かけ、10カ国以上に行きました。日本で仲良くしていた友達の家にお世話になったりしていました。旅行者としてでなく、内から色々な国を知ることができたことは、大変いい経験だったと思います。

 

•おわりに

 エレクラの目的は人それぞれだと思います。日本でまわっていない科を受けるのも、興味のある病院を長く実習するのも、他国で臨床実習を受けるのも、それぞれとても貴重なものと思います。私自身は、ミュンヘン大学での研究実習を選んでとてもよかったと感じています。私は経験が少なかった研究生活がどのようなものか経験して、将来の科選択に役立てようと、研究実習を選びました。海外でのエレクラを選択することは日本での実習期間や病院見学の機会を削るかもしれません。しかし、海外との生活や文化の面での違いを知って、視野を広げることができることもとてもいい経験になると思います。教科書に書いてあることはいずれ学ぶだろうと考えていたため、今回の実習を通して想像もしなかった学べたことは、大変満足しており、これからの生活にいかしていきたいと思いました。

 加えて、ミュンヘンでの実習は、スケジュールや日々の生活、目標も自分で設定することが多いため、他の実習よりも個人の自由によって学びたいことを選択できると思います。研究をこれまでやってきてそれを進めたいという目的であっても、豊かな文化に触れたい目的であっても、それぞれが満足できる経験をできることも素晴らしいと思います。

 最後になりましたが、ミュンヘン大学Sutter先生、Martinaさんをはじめとした研究室のみなさん、ミュンヘンでお世話になった辻先生、成冨先生、国際交流課エスノフさん、5月から手続きのサポートをしてくださった国際交流室丸山先生に心からの御礼を申し上げたいと思います。