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シドニー大学 Royal North Shore Hospital 内分泌内科

エレクティブクラークシップ体験記

 

⓪はじめに

私は1/26-2/204週間、シドニー大学のRoyal North Shore Hospital 内分泌内科での実習に参加してきました。読んでいる皆様が私の体験記に飽きる前に結論を申し上げますと、行ってよかった、楽しかった、これにつきます。周囲に比べたら動機も軽く、英語にも自信がなかった私でもやっていける環境でしたので、迷っている方は思い切って申し込んだほうがよいと思います。

@    動機

私の場合、ここの大学のここの科が有名だ、こんな研究をしている、ここにいけばこんな勉強ができる、など高尚な理由から申し込んだわけではありません。英語についても、医学英語のadvanced courseで苦手意識が生じトラウマになってしまい、ほとんど話せなくなっていました。言うまでもなくこれは自分のメンタルの問題で誰のせいでもない、そんなことは分かっていましたがどうしても振り払えずにいました。それでも、海外には一度長めの期間で出て勉強してみたかったこと、英語圏で生活することで少しは苦手意識も克服できると思ったこと、オーストラリアなら試験の結果を必要としないらしいという情報があったこと、同期もたくさん行くこと、オーストラリアの国民性はきっとのんびりだろうという希望的観測、これらが主な動機となり、申し込んでみることにしました。

A    準備

準備は正直言ってなかなかに煩雑です。2014年度は7月頭に申込スタートでapplication packageに必要事項を記入し、印刷したものに署名、それをスキャンして推薦状と合わせてメールで提出します。また、この時点で医療過誤の保険に加入しておく必要があり、MIPSという無料の保険がおすすめです。これ以降、コーディネーターとメールのやり取りをしつつ必要書類をそろえ学費(申込時に$100、確定後に$900)を払うことになります。また、今年からnon nativeの者にはTOEFL 88点以上またはIELTS academic moduleoverall 6.5以上が要求されるようになりました。自分は申し込み後に急に言われて、急いで勉強する羽目になり結構焦りましたが結果的には何とかなりました。私はIELTSを受験しましたが、ほとんどの人はTOEFLを受けていましたし、対策のノウハウも充実しているかつスタッフも慣れているため、TOEFLの方がいいかもしれません。クリクラで外科またはハード目の内科を回っている間に受験することになると大変です。私がそうでした。来年もきっと要求されますので、余裕をもってスケジュールを決めましょう。スコアが前もってある人は推薦状に書いてもらうといいでしょう。

さて、そのほか必要な書類ですが、

Criminal Record Check:無犯罪証明書(渡航証明)のことです。都道府県警または警視庁で取得できます。発行までに一週間程度かかります。無料。

National Police Check:オーストラリア警察への情報の登録です。これはwebから申請可能で出来上がったものは直接シドニー大学に送ることができます。有料です。

以上を実習開始日の3か月前までに揃えて学費を納めれば、実習確定となります。ここまで来たら、次の問題は住む場所です。私はよほどの理由がない限り大学のホームページに記載されているお宅でのホームステイをお勧めします。ホームステイのほうが割安(一週間で$200-250が相場)ですし、詳しいことは述べませんが私は格安ロッジ(とはいっても1カ月で13万円ほど)での一人暮らしを選択した結果、ストレスフルな生活を強いられました。

B    実習

さて、私が実習した内分泌内科ですが、基本的に日本の内分泌代謝内科と同じで、糖尿病(と脂質異常症)が大半を占め、ほかにバセドウ病、クッシング病などのホルモン異常を扱います。また、ニューサウスウェールズ州有数の大病院である性格上珍しい症例、難しい症例もたくさん来ます。

特に会議がなければ午前中は外来、午後は病棟で、やることがなくなったら帰るというスタイルで、その中で身体所見を取ったり、病歴を聴取したりしました。不安的中で最初こそ苦労はしましたが、英語で診察をするのも、スペシャリストたちの話を聞くのもためになったと思います。現地の学生や他国からの実習生もたいていはいますので彼らと話をしてみるのも日本との学生生活の違いを知るいいきっかけだと思います(せっかくなので学生とは医学以外の話を広げてみたほうがいい気がします、個人的には)。学生はもちろん、先生方も患者さんもこちらが誠意を見せればどうにかコミュニケーションをとろうとしてくれましたので非常に助かりました。国民性なんでしょうかね?

ただ、科の性質で忙しいわけではなく、それが私にはちょうどよかったわけですが、4週間いると終盤はおなか一杯になってしまった感があり、二つの診療科を3週間ずつ周るなどするとちょうどいいのかもしれません。この辺は当然診療科によって変わってきます。

C    観光など

オーストラリアはサマータイムを導入しているため日没が20時頃と遅く、実習は17時には終わってしまったので、放課後あるいは休日は自習なり観光なりに充てることができます。私は週に三回ほど同期たちと遊んで、他に週末でメルボルンとゴールドコーストにもいけました。何人かエアーズロックに行った人もいました。シドニー自体もきれいな街ですが、せっかく自然豊かで人々も穏やかな土地ですので、何か所か観光に行った方が終わった後の満足度も高いでしょう。現地で知り合った学生と食事に行ったりするのも一興かと。(週に一回飲み会の案内があります)

D    最後に

上記の通り、海外慣れしていない私でも英語の診察の経験から旅行に近い観光まで、盛り沢山で楽しい一か月を過ごすことができました。これも一緒に時間を過ごしてくれた同期のみなさん、やさしい先生方、資金を補助してくださった大坪修先生と家族、手続その他を補助してくださった国際交流室のおかげです。本当にありがとうございました。