エレクティブクラークシップ体験記  

    M3 Female

 

シドニーでの実習

私はエレクティブクラークシップの期間を利用して6週間シドニーにあるRoyal North Shore Hospital で実習をさせてもらいました。最初の3週間を小児科で、次の3週間を腫瘍内科で過ごしました。以下、出発前の準備、シドニーでのこと(現地での生活、小児科、腫瘍内科)の順番で書いていきます。

 

出発前:

シドニー大学のホームページから申し込みをします。確か6月1日から受付開始の予定だったのが去年は途中で変更になって7月1日開始になりました。申し込みの開始日は変更になるかもしれないのでこまめにホームページで確認するとよいと思います。この仮申し込みでは自分の見学したい科と期間を第一希望から第五希望くらいまで選択して申請するのですが、先着順で希望が通ると思うので、救急科など人気の科を希望する人は受付開始と同時にメールを送れるように準備しておいたらいいと思います。このときに用意しておく書類は、シドニー大学のホームページにのっている応募書、大学からの推薦状、海外で病院実習をするための医学保険の証明書(この段階ではまだ期間も受け入れ先も決まっていないのでMIPSという無料の医学生用の保険に入っておきます)です。

一回目の申し込みのメールのあと、希望の科を調整しているから待ってくれ、などといった返信が来て、その数日後以降に実習科、期間の仮決定が送られてきます。仮決定したらimmunization form, AFPの認可書、無犯罪証明書を送ります。

AFPの認可書についてはシドニー大学のホームページからリンクがとんでいたと思います。Immunization formについては保険センターでレントゲンの結果や抗体検査の結果をもらい(無料で、保険センターで当日に受け取れるものは診断書という形ではないみたいです)、それと合わせて自分の母子手帳から必要な項目をメモしたものを丸山先生からいただいたimmunization form の雛形に書き込みます。これに丸山先生からサインしていただくことで診断書という形になるので提出できます。保険センターでも診断書や英語の診断書も恐らく発行してもらえるのですが、当日には受け取れなかったので私は上記のようにいました。その他無犯罪署名書などは発行までに時間がかかるので、できるだけ早めに準備しておくのがいいと思います。

 

無事に全ての書類を提出し終わったら実習料金を支払っておしまいです。最初の方は何回か連絡をとる人が変わったりして不安なのですが、仮申し込み以降は(現地での実習期間も)Martinというエレクラ担当者と連絡をとっていくことになります。

 

次に現地でのステイ先を探します。私はシドニー大学のエレクラのページにのっているステイ先の中から病院に近そうなところ何件かにメールを送りましたが、上記の手続きが終わって安心してメールを送るのが遅くなったため、ステイ先は先約でいっぱいでした。結局6週間通して泊めてくれるのが一件しか見つからず、そこにステイすることになりました。ステイ先に関しても実習の期間が決まったら早めにおさえておくのがよいと思います。

 

現地での生活:

現地では平日は実習、休日は海や街などに遊びに行きます。平日も丸一日実習にかかるわけではないので早く終わった日には海に行ったりできます。なので水着やサンダルは持って行きましょう。

食事に関してですが、私のステイ先は食事については自分で作る形式でした。基本的な調味料や油、食器などは貸してもらえたので、作りたいときには自分で材料を買ってくればいいだけです。ただ病院から二駅のチャッツウッドという駅がアジア人系の街で、日本食、中華、韓国料理なども豊富だったので実際は外食で過ごすことも多かったです。

 

海外で一定の期間生活をしたこと自体初めての経験だったので、週に何回も海に行ったり、ホストファミリーと一緒に生活したり、いつもと違う街並みの中で暮らしたりすることなど全てがとても楽しかったです。

 

追加:上で書き忘れましたが、去年申し込み者が多かったために申し込みにはTOEFL88点以上という制約が途中からできました。

 

次に簡単に病院実習についてまとめておきます。

1)小児科

小児科は病棟と外来業務があり、大学病院の小児科とは異なり、病棟の患者はcommon diseaseが中心でした。実習内容ですが、主に病棟業務と外来を見学させてもらいました。

期間中に病棟でみた患者は喘息、急性細気管支炎、川崎病などcommonなものが多く、入院期間も短期間の子供が多かったように思います。RNSH自体は大学の関連病院だそうですが、大学病院に多いイメージの腫瘍など入院期間が長期になりそうな疾患はChildren Hospitalという小児専門の病院でみているそうです。

病棟:病棟での実習内容は朝カンファと回診がメインでした。病棟で初日にsupervisorに挨拶をするのですが、普段はほとんど病棟にいないので、病棟ではインターンの先生と一緒に過ごします。回診は主にインターンと中ベンの医師という小規模な単位で行っていました。各患者には小児科の中の専門医が割り振られているのですが、その専門医も含めて回診を行うこともありました。

経験させてもらったことは病歴をとること、それを先生にプレゼンすることでした。人によっては早口だったり、市販薬の名前が日本と異なるなどして、わからなかったこともありましたが、実際に英語を話す方からの病歴聴取に慣れるための良い練習になったと思います。プレゼンも実際にやるのは難しかったですが、電話でその患者のことを知らない人に伝えるつもりになってやってみて、と教わりそれを意識して練習しました。

 

外来:日ごとに内分泌外来、糖尿病専門外来、一般小児外来、皮膚科外来などと決まっていました。比重としては糖尿病外来、内分泌外来が多かったです。見学したT型糖尿病の方の外来内容は子供の一日の血糖の変化をみてインスリン量を微調整することが中心でした。

その他:実習中にはplay roomのようなところで子供と遊ぶことができました。先生が子供と遊ぶときにその子の年齢と遊び方について注目してみるとよいとおっしゃってくださったのですが、子供の年齢によって使う遊び道具が違ったり、同じお絵かきをするにしても使う色の種類や、描く図形の種類、人間の顔を書くときにどの部分を書くかなどが違ったりしたので、どの年齢の子供がどのようなことをできるのかといった発達について直に見て勉強することができたのはよかったと思います。

最後にsupervisorの先生にご挨拶に行ったときには諮問のように3週間の中で見た患者さんのプレゼンをするというイベントがありました。

 

2)腫瘍内科

後半3週間の腫瘍内科ですが、1日の流れは朝8時半過ぎ頃からチームで回診(月曜日と木曜日には9時からカンファがありました。回診の合間に先生たちはデスクワークをこなしたりしつつ、だいたい午前中いっぱいでチームの一通りの患者を見終わるといった感じでした。

経験できたことは病歴聴取とサマリー作成など、小児科と同様に英語の訓練ができました。

その他には水曜日のお昼にteaching sessionがあって、そこでは抄読会が行われていました。その他はインターンの先生に採血を練習させてもらったり、末期患者のICを見学したりできました。

 

3)全体

全て英語で体験できたということが私にとって海外実習に来て意味のあったことだと思いました。回診やら引き継ぎやら先生同士の会話やら、英語を聞き取るのに一生懸命でした。ただでさえ聞き取るのに必死なのに患者さんの喋り方によっては聞き取りにくい人もいたりしましたが、6週間の中で聞き取れるようになったり、もっと努力しなければならないと実感できたり、良い経験になりました。