Sydney University Royal North Shore Hospital

 

M3 Male

 

自分はオーストラリア・シドニー大学のRoyal North Shore Hospital(以下RNSH)1月最終週から4週間の実習をさせて頂きました。

 

もともと5年生のこの時期は何としてでも海外に行ってみたいという好奇心が強かったため、英語の試験がなくほぼ必ず行けるオーストラリアのシドニー大学のプログラムを選択しました。

もちろん、USMLEの自信があったり、そうでなくても英語に絶対の自信があればジョンホプキンスやミシガンやハーバードに行く選択肢もありますし、それもまたいいと思います。

しかし自分の場合、5年生の4月にエレクラについて考えた結果、次の冬に北半球の極寒の地で実習する気にはどうしてもならず、迷った末に結局オーストラリア一本に絞りました。

 

応募手順は例年とほぼ変わりなかったように思います。

ただし、今回は向こうの都合で、応募開始が6月頭から7月頭に変更になったので、これからも注意しましょう。これからどうなるのかはわかりませんが、僕たちの時は先着順だったので、どうしても行きたい科がある人は早めに出した方がいいでしょう。

 

用意するものがややありますが、今年は同級生で行く人が多かったのでコンタクトを取りながら進められたのは助かりました。例年と大きく変更はないと思いますが、来年度から大きな変更もあり得ると思います。

 

保険は無料のMIPS、その他は要求されたものに対してひとつずつクリアする感じだったと思います。書類では、決定していない事項(実習科・ステイ先)はそのように埋めるか、書くだけ書いて、予定です、と付け加えればいいと思います。

ただし、保健センターの書類や無犯罪証明書や通帳の残高証明書など、意外と時間がかかることもあるので、実習の空いている日を使って何事も準備は早めにしましょう。4月くらいから準備を始めておくとよいでしょう。

(ワクチンのブースターは、特に記述がなかった気がしましたが要求されるので早めに打っておいてよいでしょう。)

 

最終的なConfirmationはなかなか来ず、10月下旬くらいになってようやくだったと思いますが、仮押さえができているならばとりあえず安心していましょう。

 

ここからは実習の内容の話となります。

本来このような体験記では、後輩たちのために苦労したことを書くべきなのでしょうが、多くの人が苦労するであろう生活面で、僕は知り合いのつてを頼って非常に恵まれたホームステイ先に滞在することができたので、あまり参考にならないかもしれません。

もちろん、大学が斡旋しているホームステイ先にほとんどの同級生は泊まっていましたし、彼らの話を聞いたり文章を読んだら参考になると思います。

ちなみにステイ先はWahroongaという、RNSHからさらに電車で30分近く北で、Hornsby Hospitalの方が近い場所でしたが、電車は往復共ほぼ必ず座れますし、何と言っても治安がとてもいいところだったのでRNSHの人にもこの町のホームステイはお勧めできます。

 

RNSHはシドニー中心地から電車で北に約30分ほどの場所にある、とても大きな病院でした。現地の人に聞いたところ、有名な病院のようでした。

また、RNSHは建て替わってからまだ2年の非常に新しい病院で、きれいで気持ちの良い病院でした。

 

僕は救急科のみの実習でしたが、初日のオリエンテーションの後は直接現場に放り込まれて少し大変でした。一応最初の1週間程度はチューベンのような先生方についたのですが、救急科の特性上、各先生ごとにシフトが日替わりで、顔と名前を覚えるのには最後まで苦労しました。

2月の第1週目から新学期で研修医も入れ替わるということで、最初の1週間は病院全体があわただしい印象でした。その結果、1月の最終週からの実習だったのですが、実習に慣れて、どの人につけばいいのかを掴むのには2週間ほど必要になってしまいました。

ただ、海外でしかもシフト性の救急科ならば致し方ないことだとも感じます。

そんな中、まずさせてもらえたのはルートをとる作業でしたが、日本人とオーストラリア人では難易度がオーストラリア人の方がはるかに高く感じました。

結局なかなかうまくいかず、自分で何とかとれるようになったのは2週目以降でした。しかし、失敗しないとうまくならない、というのはすべての先生方がおっしゃっていたことでしたし、患者さんもとても協力的でありがたい環境だったと思います。

それにも慣れてくると、身体所見をとったり、問診をしたりするようになったのですが、とにかくすべてが英語のため、最初は先生の診察・問診を見て、それを少しづつ自分で使っていくというスタイルでした。

診察だけでも気を使いますから、そのアセスメントについて先生とディスカッションするのは大変だったように思います。

それ以外では、CPRをする機会も複数回ありました。実際のCPAの患者さんに行うのは初めてだったので最初は緊張しましたが、向こうのドクターたちは医学生がするのが当然だというシステムなようで、現地の医学生と共に参加しました。

オーストラリアでは、海外の学生に関しては特にテストで評価される機会はないので、実習も実習以外も大きな制限なくいろいろなことができるのが長所でもあり欠点でもあるように感じました。

 

だんだんと実習に慣れ始めたのが3週目くらいで、この時期になると研修医と疑問点を話し合ったり、空いている患者さんに話を聞きに行ったりする余裕ができてきました。

採血であれば何名かは拒否されることもありましたが、問診であれば拒否されることもなく、自分の英語に自信がついて来れば気軽に行えるようになりました。

また、先生の方もこのころになると自分のことを認識してくれ始めてくれたので、ついて行っていいですか?といえばもちろん!みたいな感じになりやりやすくなっていました。

 

1週間のスケジュールとしては、火曜日の昼に内科グランドラウンドが、金曜日に主に午後に学生セッションと講義があり、グランドラウンドはとても楽しめました。

講義は、やはり日本語で知らない・またはおぼつかない内容を英語で体系だった知識として構築するのは苦労しますし、スピードもゆっくりしたものではないのでなかなか楽しむ余裕はできませんでした。

学生セッションも、やってる内容は何となくは分かるのですが、いまひとつ面白くなかったのとしゃべるスピードがとにかく速くわかりづらかったので、金曜日は救急科の方で実習することも多かったです。

 

週末はいろいろなことをして過ごしました。

サーフィンもしましたし、動物園に言ったり、アジアカップの決勝を見に行ったり、オペラハウスでオペラ鑑賞や市内観光をしたりとても充実していたと思います。

逆に週末の過ごし方を考えると、4週間くらいがちょうどよいかもしれませんね笑

物価は日本の1.5倍から2倍近く、高くて少し困りましたが、運よくホームステイ先のおばあさんが昼食にサンドイッチを作ってくれ、晩御飯も毎日一緒に食べられたのでとても助かりました。外に行く時の飲みものは水道水が安いし安全なので一番いいと思います。

 

海外での病院実習は今回が初めてで、最初は苦労することもありましたが、いろいろな人の好意と支えがあったおかげでとても楽しい、実りある実習にすることができ、満足しています。

このような機会に快く援助してくれた家族、そして手厚くサポートしていただいた丸山先生に感謝しています。ありがとうございました。