Elective Clerkship @ University of Pennsylvania, Children’s Hospital of Philadelphia

報告レポート

M3 Female

 

▶はじめに

この度は、229日〜325日で4週間、Children’s Hospital of Philadelphia(以下CHOP)で実習させていただきました。全米で最古の歴史ある小児病院で、実力も指導力もアメリカトップと評価されていて、その通り優秀で熱心な先生方や頼もしい現地の医学生と一緒に実習することができました。

 

UPenn附属病院の実態

Children’s Hospital of Philadelphia (CHOP), Hospital of the University of Pennsylvania (HUP), Pennsylvania Hospital (Pennsy)の三カ所があります。CHOPHUPはキャンパスの隣に、Pennsyは東にあるフィラデルフィア中心街にあります。選択科ですが、少なくともCHOPはいわゆる”Elective”と呼ばれる科しか留学生を受け入れていないそうです。これらは主にコンサルトを受ける科が多く、いわゆるアメリカのレジデントのような朝早くから担当患者3-4人のバイタルとカルテを確認して全員を指導医の前でプレゼンして夜も遅くまで残って死ぬほど大変・・・・みたいな経験とは違うかと思います。他の病院に関してはわかりませんので別の学生の資料など参考にしてください。

 

▶受入決定までの流れ

6月にElective Clerkship学内選考の面接が他の大学と同様にあり、推薦が決定します。その後は秋頃まで手続き関連はすることがないので、医学英語の勉強をしておくと良いと思います。UPennの応募の特徴としてはTOEFLの点数の要求水準が他より高いと言うことです。合計点は厳しくないのですが、24 (Speaking) + 24 (Listening) + 20 (Reading) + 20 Writing.が最低ラインで、スピーキングが特にハードルとなります。エレクラ時期の受け入れは111日が応募締め切りなので、夏からホームページをチェックしながら抗体検査、CVPersonal Statementなどの準備をしておくのが良いと思います。記入したpdfファイルを丸山先生に確認していただき、先生から直接送っていただくので、時間に余裕を持って準備しましょう。

 

HPにはオンラインフォームの記載もありますが、海外提携校はオンラインでする作業は特になく、全てpdfなので注意してください。ただし年度によって変わる可能性もあるので最新の情報を確認してくださいね。

*インフルエンザワクチンを要求されるのですが、締め切りがまだワクチンが積極的に開始される季節ではなく、日比谷クリニックというトラベルクリニックで受けました。なお、その後の時期に大学で無料で実施されましたが、それだと間に合わないので気をつけましょう。

 

▶事前準備

医学英語はしっかり勉強しておくに越したことはないと思います。略語などは病院によっても違うので現地に行くまでなんとも言えませんが、USMLE Step 1の教科書を通読しておくと大体の話はわかるので良いと思います。(応募にStep1の受験は応募に特に必須ではありません)。また、google検索すればアメリカでのプレゼンの仕方や医療用語など載っているので、時間があれば調べてみると良いと思います。

 

▶現地での生活

  フィラデルフィアまで:Philadelphiaの空港から大学キャンパスに行くのは電車でUniversity City駅まで30分、$8でした。 NYからだとLCCバスだと同じくらいの値段で2時間、Amtrackという電車を使う$40-100(直前になると高くなります!)で1時間半、共に30th Street Stationという駅につきます。私は直接Philadelphiaに入りました。

  寮:International House Philadelphiaという海外学生向けの大きな寮が大学の北西(University City駅からだと徒歩15分ほど、CHOP/HUPからも15分ほど) 、Pennsyは地下鉄に乗っていく必要があります。

  寮での生活:10人でキッチンとトイレ・シャワーは共有でした。部屋は古く狭かったですが、キャンパスに近く、同居人も静かで礼儀正しいひとが多く、あまり不満はありませんでした。

  市内の移動:バスや地下鉄・トロリーが主な交通手段となると思います。 有人駅のみで販売されている乗車用のコインを買っておくと楽です。現金だとちょうどの額しか受け付けてくれない上に割高です。

  食生活:お昼は病院のカフェテリアやカンファの無料ランチでした。朝夜は適当に自炊したり、友達と出掛けたり、色々でした。 行くことが決定して外食オススメレストラン情報が欲しい方はご連絡ください!

  服装:CHOPは白衣はいりません!男性はシャツにスラックス(デニムじゃなければなんでも良さそうでした)、女性は普通の綺麗目な私服で問題ありません。最初は黒いズボンにワイシャツを着ていましたが、かっちりしすぎている気がしました。

 

▶実習

感染症は東大病院と同様にコンサルトが中心で、感染徴候のある患者さんの診察、抗菌薬の検討などが日々の業務でした。チームはattendingfellowが2人、resident2人、学生が私含め2人です。Attendingの先生は毎週変わります。スケジュールとしては8時から勉強会やカンファ、担当患者がいる日はひとりで事前に回診・診察を済ませて、11時からattendingの先生について回診、5時に終了というイメージです。Attendingとの回診は症例を担当した医師がattendingの前でプレゼンし、方針を確認した後、病室で患者さんの診察を改めて行います。ここでコンサルト内容の結論を決めて、主科に報告していきます。また、日中に新たなコンサルトの連絡があれば、fellow/resident/学生の誰かが回診から抜けて診察に行きます。学生でも理解できそうな症例ではひとりで患者さんとご両親から病歴を聞き、身体所見を取り、病態を考察して指導医に方針をプレゼンする、という機会にも恵まれて、とても良い練習になりました。ライム病、カテーテル感染、黄色ブドウ球菌血症、尿路感染、肺炎、など小児の中でも年齢・人種・症状・原因菌など様々な症例を診させてもらいました。高度な医療機関なので先天性疾患や複雑な既往歴を抱える子どもが多く、予想以上に日々頭を悩まされました。という複雑な病状ばかりでは学生が担当できる症例も少なく、residentも学生も通常より多かったようで、結局週3件くらい担当させてもらったと思います。症例を検討するにあたっては、最新の論文を調べるというEBMの姿勢、徹底された治療ガイドラインの存在など、アメリカらしい進め方が印象に残っています。朝や昼には勉強会、抄読会、症例検討会、著名な医師による講演など病棟の外でもたくさんの学習機会が用意されていて、教育病院の底力に圧倒される体験となりました。

 始めは医学英語で専門的に話すのに苦労したり、現地の医学生の優秀さに圧倒されたり、なかなか自分の立ち振る舞いを確立するのに苦労しました。治療方針まで自分で考えるという経験はなかった上に、その場でプレゼンというのも中々慣れず、最初の週はひどかったと思います。私は英語が喋れるので先生も下手したら現地学生と勘違いされていたかもしれないのに、現地学生とレベルが違いすぎることに悩みました。しかし、今まで自分が学んできたこと以上は出来ませんし、教育システムが違うので嘆いてもしょうがありません。少しずつ回数を重ね、先生方との英語コミュニケーションにも慣れて、一緒に実習した現地学生にも助けられ、後半は楽しく学べたと思います。わからないことは積極的に質問したり、些細な疑問もぶつけてみたりすることから始まり、患者さんを担当したかったら積極的に先生にコンサルトがないか聞いたり、attendingの先生にプレゼンする前にFellowの先生に自分が考えた方針の方向性が合っているか聞いて教えてもらったりすることで自分の学習機会を増やしました。プレゼンもわかる範囲で落ち着いて順序立てて話すように努力し、結果先生方もさらに指導熱心になってくださってとても嬉しかったです。実力主義のアメリカですが、出来ることを自分の精一杯やれば評価してくれると言うことを改めて実感しました。半分くらいは空自信でも良いので自信を持ちましょう!最後にattendingの先生に御礼をしに行った際は、「難しい症例だったけど上手く考察してプレゼンしてくれていたよ」「アメリカに帰って来たくなったらいつでも連絡してね」とおっしゃってくださって、頑張って良かったな、と思いました。

 

 将来アメリカに行くことに興味がある人もない人も、新たな環境で新しいことにチャレンジしてみるのはとても意味があると思います。この体験記が今後エレクラで海外を目指す学生の参考になりますよう願っています。更に質問などがありましたら気軽にご連絡ください。

 

 最後になりましたが、このような機会をくださった丸山先生をはじめとする国際交流室の皆様、奨学金で支援してくださった大坪先生、手続きを手伝ってくださった教務係のみなさま、現地で支えてくださった全ての皆様にこの場を借りて御礼申し上げます。